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湿疹

湿疹とは

湿疹とは湿疹(皮膚炎)とは、皮膚の表皮・真皮上層に生じる炎症の総称で、様々な原因が考えられます。皮膚疾患の中でもよく見られる症状で、年齢問わず発症します。
湿疹の大半は、外部から刺激に反応して起こる「接触皮膚炎」です。原因が明らかであれば、原因を避ければ良いのですが、原因が特定できない場合もあります。
赤みやかゆみなどの症状が現れることが多く、細かいブツブツや水疱が生じることもあります。
湿疹の原因がはっきりしない場合でも、ステロイド外用薬を患部に塗ることで症状は治まります。

湿疹の症状

  • 皮膚の発赤
  • 細かいブツブツができる(丘疹)
  • 皮膚が乾燥してカサカサになる
  • 水ぶくれ
  • ただれ
  • 皮膚が部分的に膨れて膿が溜まる
  • ジュクジュクする

炎症の程度や原因によって様々な症状が出現します。

急性湿疹と慢性湿疹

急性湿疹

発症後数日程度で治まる急性の湿疹です。
早めに治療をスタートできれば、比較的早く症状が治まります。

慢性湿疹

急性湿疹が長期間継続すると慢性湿疹となります。
基本的な治療法は急性湿疹と同じですが、治療期間は長期に及びます。

湿疹とかぶれの違い

湿疹は皮膚に起こる炎症の総称で、一方、かぶれは湿疹の中でも外部から刺激に反応して起こるもので、正式な病名は「接触皮膚炎」と言います。
かぶれは2つに大別され、合成洗剤や化学物質などの刺激物質が皮膚に直接触れることで炎症が起こる「刺激性接触皮膚炎」と、アレルギー反応が原因で起こる「アレルギー性接触皮膚炎」があります。かぶれは、原因物質に触れた部位に、赤みやかゆみ、ヒリヒリした痛み、水ぶくれ(小水疱)、ブツブツ(丘疹)などが見られます。
湿疹とかぶれの原因としては以下が挙げられます。

物理的刺激 温熱、寒冷、乾燥、紫外線
化学的刺激 薬物、洗剤、化粧品
アレルゲン 花粉、ハウスダスト、植物(漆など)、動物、虫、金属
体質的要因 発汗異常、皮脂分泌異常、乾燥肌、アレルギー体質

湿疹と蕁麻疹の違い

湿疹は皮膚に刺激物質が触れることで生じますが、蕁麻疹は皮膚接触以外の原因(基礎疾患や感染症、特定の薬剤や食材など)によって生じることがよくあります。なお、蕁麻疹の原因の大半ははっきりせず、原因が明らかなものは全体の約10~30%です。
症状は皮膚の一部だけに現れることもありますが、全身のあらゆる部位に起こり得ます。また、症状は数十分から長くても1日以内には治まることが多いです。1日以上続く場合や何度も現れる場合、強い症状が現れている場合は当院までご相談ください。

湿疹の種類

手湿疹(主婦湿疹)

手に起こる湿疹の原因は、手洗いをし過ぎることによる乾燥、プラスチック・金属・ゴムとの接触などが考えられます。他にも、洗い物などの水仕事や洗剤などが原因になることがあり、別名「主婦湿疹」とも呼ばれています。湿疹は手の甲や手のひら、手首、手指などに起こります。
「あかぎれ」や「手のかぶれ」と呼ばれるものも手湿疹に該当します。

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乳児湿疹

生まれて1年以内の乳児に見られる、顔や頭にできる湿疹です。
ブツブツや赤みなどの症状が現れます。湿疹が頭に生じた場合、黄白色のフケが見られることがあります。

汗疹

汗を出すための管が詰まり、皮膚の中で汗が溜まることで炎症が生じます。
主な症状としては、小さなブツブツ、水ぶくれなどが挙げられます。
患部を気になって掻いてしまうと、周囲に赤みが拡大します。

汗疱・汗疱状湿疹・
異汗性湿疹

汗疱は、指の間や手のひら、足の裏に小さな水ぶくれが多発し、再発を繰り返す疾患です。水ぶくれに赤みやかゆみを伴うケースもあります。
明確な原因は明らかになっていませんが、多汗症や金属アレルギーがリスク要因として考えられています。

皮脂欠乏性湿疹

乾燥や加齢などで敏感になった肌に、様々な刺激が加わることで湿疹が現れます。かゆみを伴うことが多いです。乾燥は季節的なもの以外にも、過剰な手洗いによるものやエアコンによるもの、入浴時にナイロンタオルで皮膚を洗いすぎてしまうことも原因となります。

脂漏性皮膚炎

皮脂が分泌されやすい部位(顔面や頭皮、生え際など)に起こる湿疹で、赤斑やフケが見られます。思春期から中高年の男性によく起こります。
原因としては、カビの一種であるマラセチアが作る物質に肌が過剰反応することで起こります。マラセチアは、ストレスや気候の変化などに伴って常在菌のバランスが崩れることで増殖します。

貨幣状湿疹

全身のあらゆる部位に、硬貨のような円状の湿疹が現れます。カサカサと乾燥していることが多く、悪化するとジュクジュクして、強いかゆみが生じるようになります。

接触皮膚炎(かぶれ)

金属、薬剤、衣類、化粧品、植物などに触れた部位に、かゆみや赤み、水ぶくれなどが起こります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、アレルギー疾患の一種で、かゆみを伴う湿疹ができては消えてを繰り返します。
原因には、「免疫の異常」、「皮膚のバリア機能の低下」「皮膚への様々な刺激」の3つが考えられます。

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湿疹の治療方法

薬物療法

ステロイド外用薬

ステロイド外用薬は皮膚の炎症を抑制する作用を持つお薬で、様々な種類があります。湿疹の状態や部位を確認し、それに応じて強さやタイプ(軟膏、クリーム、ローションなど)を調整します。
ステロイド外用薬にネガティブなイメージを持つ患者さまもいらっしゃいますが、当院では状態にあった適切なものを処方するので、副作用を可能な限り抑え、早期の症状改善を目指します。

抗アレルギー剤

抗アレルギー剤(抗アレルギー薬)は湿疹自体を改善させるお薬ではありませんが、かゆみを抑える効果があります。抗アレルギー剤のみでは湿疹を改善するのは難しいため、ステロイド外用薬を併用します。ステロイド外用薬で症状を抑制しながら、抗アレルギー剤でかゆみを抑え、辛い症状からできるだけ早く開放することを目指して使用します。

原因の探索・除去

湿疹の原因は、症状が起きている部位や、湿疹の形状・並びから推察できます。
例えば、接触性皮膚炎は、湿疹が頸部や顔、手のみに現れており、衣類で覆われている背部や腹部には生じていない場合に疑われます。
また、左右対称に湿疹が広く出現しており、露出している部分や衣類で覆われている部分に症状の差が確認されない場合、内的因子が関与している可能性が高いです。
他にも、症状が起きる前の患者さまの生活習慣、食事、行動なども原因を考えるのに役立つため、詳しくお伺いします。
湿疹の一部のみを確認して、「他の場所も同じ感じです」という患者さまの言葉を鵜呑みにしてしまうと、間違った判断になってしまうこともあるため、当院では診察時に可能な限り広い範囲の皮膚を確認させて頂きます。
そのため、当院を受診される際は、医師が確認しやすいように肌を露出させやすい服装でお越し頂けますと幸いです。

湿疹の予防方法

湿疹・かぶれを予防するためには、肌のバリア機能が低下させない、原因となる刺激(アレルゲン、かゆみを引き起こす物質、特定の薬剤・食材)を避けることが重要です。
汗疹が起こりやすい方は、室温を調整したり、薄手の衣類を着るなど、汗をかきにくくする工夫をしましょう。

原因が分かっている
場合

原因が分かっている場合、周囲に原因となる刺激がないか確認してください。湿疹が現れる際に使用していた金属や薬品などは避けることが大切です。
ただ、原因物質を全て避けることが難しいケースも往々にしてあります。
具体例を挙げると、洗剤や石鹸が原因となる「主婦湿疹」は、完全にそれらを使わないとなると日常生活に支障をきたします。そういった場合、洗剤を薄める、水仕事をする際は手袋を使用する、ゴムに反応して症状が起こる方はゴム手袋に下に木綿の手袋をするなど、ご自身にあった工夫を取り入れてみましょう。

皮膚のバリア機能の
アップを

睡眠不足や偏った食生活、ストレスなどにより、皮膚が刺激に弱くなったり、肌荒れを起こしたりすることがあります。皮膚は内臓(胃、腸、肝臓、腎臓など)と深く関係しているので、体調管理に気を配り、健康的な生活を送りましょう。
また、乾燥によっても皮膚トラブルが起こることがあります。入浴後や洗顔後に肌が乾燥する方は、市販の保湿剤などを用いて保湿することをお勧めします。

湿疹・あせも予防に
日ごろから心がけて
おきたいこと

  • 常に肌を清潔にし、乾燥しないようにする。
  • 室温や衣類を調整して汗をあまりかかないようにし、汗をかいたらこまめに拭き取る。
  • 汗をかいた後はシャワーを浴びる。
  • ストレスは様々な疾患の原因にもなるので、溜め込まないようにする。
  • かゆみを引き起こすアルコールなどの刺激物は控えめにする。
  • 原因物質が分かっている場合は自分の周囲から避けるようにする。
  • 睡眠や食事など規則正しい生活を心掛け、健康に気を配る。
  • 紫外線対策をする。特に肌が弱い方は夏も可能な限り肌の露出を控える。